メイギカ 第1章 第2話 〜大切な友達〜
「これより、魔人遙を死罪に処す」
役人達が、掲げたたいまつに火を点けていく。
暗闇の中、たいまつの火が処刑台を取り囲むようにしてシルエットを映し出す。
張り付けにされた遙はうつむき、恐怖に震えていた。
そして、台の根元に火が放たれた。
小雨の雨粒が、多少火の勢いを抑えているものの、火はどんどん燃え広がってゆく。
「あ…熱い…」
村人達はある者は悲痛そうに、またある者は安堵したように、また別のものは蔑んだ視線で、それぞれ見つめる。
ところが、ある一角で騒ぎが起こった。
「オイ、なんだこの猫!!邪魔だ! まとわりつくな!」
「あ、あの猫…魔人が飼ってる猫よ!」
役人の足もとに猫の姿。
村人の声に、うつむいていた遙は顔を上げる。
炎は彼女の足元近くまでせまっていた。
「何!?魔人の猫だと!?」
「き、きっと魔人があの猫を操ってるんだ!」
「あの猫に近づくと呪われるぞ!逃げろ!!」
「魔人の手先だ!殺せ!!」
広場はたちまちパニックに陥る。
「イテェ!!引っかきやがったこの猫!」
「メイ…!」
その猫の名前はメイ。
遙が世話をしていた猫だ。
子猫のとき、ずぶぬれで震えていたところを遙が助け、それ以来懐いていた。
魔人だとばれいじめられたときも、いつ終わるとも知れないつらい旅のときも、母親が死んで独りぼっちになってしまったときも、ずっとそばにはメイがいた。
メイは寂しさを埋めてくれる大切な存在だった。
モンスターに襲われたとき外に逃がしてやってから、どうなっていたのか心配していた。
そのメイが、今役人に攻撃している。
「ダメだよ!…殺されちゃう!!」
遙は自分の熱さも忘れ叫んだ。
だが…
「死ね!このクソ猫!!魔人の手先め!!」
ガッ!!
たいまつで殴られた小さな体は吹っ飛び、まるで物のように転がって動かなくなった…
「メイーっ!!」
もうピクリともしない。
「メイっ!メイっ!!」
メイとの思い出が涙となってあふれ出てくる。
メイだけは、何があっても私のそばにいてくれた…
メイと遊んだり、探検したり。そんな数少ない楽しい思い出も、もう作れない。
だってメイは死んでしまった。
そして私ももうすぐ死んでしまう。
ぽろぽろと涙が流れ落ちてゆく。
メイを失ってぽっかり空いた心。
そこに激しい感情が沸き起こる。
すなわち…怒り。
メイを殺した。
私の最も大切な友達だったメイを…
魔人が飼っていたから?
私がいけないって言うの?
メイも私も、何も悪いことなんかしてなかった。
なのに私は魔人だから処刑されて
メイは魔人に飼われてるから殺されるの?
魔人が生きていることなんか許されないことなの?
そんなの許せない。
許さない。
だったら生きてやる。
絶対に。
あんなやつらに殺されてなんかやるものか!
いつの間にか火は遙の全身を包み込んでいた。
一時はパニックに陥った人々も、猫が動かなくなり、魔人ももうすぐ死ぬであろうとわかり、落ち着きを取り戻した。
火にあぶられている魔人の姿を、全員が眺めていた。
その時。
信じられないような光景が広がる。
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一言:進みおせぇ…
まだ先は長い…1章終わるまでも長い・・・だって少なくとも6章以上あるもん。おわんねーよ。
なんか、テーマが「生(せい)」みたいになってますねぇ。恋愛モノにしよーかなーと思ってたんですが…
相手でてこねぇ。プロローグなげー。