メイギカ 第2章 第20話 〜来夜の企み〜

 

影が飛びかかってくる。

遙は精霊に必死に祈りながらギュッと目を閉じた。

 

「助けて・・・!!」

 

バン!!

身体に衝撃が来る。

その瞬間、閉じていた窓が開き風が吹き込み、遙の全身を包んだ。

 

影が、その風にはじかれる。

 

「うっ…」

 

ドォン!!

影は大きな音をたてて壁に激突した。

 

「ぎゅー」

 

何かのうめき声のようなものがした。

 

「はぁ、はぁ、いったいなんだったの…」

 

影は衝撃のせいかぴくぴくと小刻みに動いている。

遙は恐る恐る影に近づいた。

 

遙が近寄ると、影の動きがぴたりと止まる。

手を伸ばすと、影はじりじりとドアのほうに逃げていく。

思い切ってつかもうとすると、影は小さく飛び上がってあわてた様子で素早く逃げた。

ただ先程のような勢いは残っていない。

 

(コイツ…なに??)

 

遙は意地になって追いかけた。

影はさらに逃げる。

すぐに追いつくのだが、小さく、素早い動きでなかなかつかまらない。

 

「ああ!もーう」

 

ガチャ

 

遙が捕まらないイライラを口に出すと、急にドアが開いた。

入ってきたのは来夜だった。

影は、来夜の持っていた帽子に飛び込んでいった。

 

来夜は、遙が驚きやら何やらで何も言えないうちに、影の入った帽子を伏せて棚の上に置いた。

そのまま壁に寄りかかり、腕を組んで遙を見下ろす。

逆光で来夜の表情はうっすらしか読めない。どうやら笑っているようだ。

ずいっと遙に顔を寄せる。真顔になり、問いかけた。

 

「遙、あんた、魔法習う気ある?」

 

「ふぇ?」

 

急に登場しての唐突な質問に頭がついていかず、遙は目を瞬かせた。

 

「魔法習う気あるかっていうの」

 

来夜はいたって真面目な顔で淡々と聞いてくる。

遙は小さく頷いた。

来夜はにやりと笑った。

 

「決まりね。…あんたは今日からここに住みなさい」

「うぇっ?…あ、ありがとうございます」

「ふふふ。スパルタするつもりだから、よろしくー」

 

来夜はそう言ってパチンと指を鳴らした。

 

一瞬景色がぼやけたと思ったら、とたんに周囲は明るくなった。鳥のさえずりが聞こえてくる。

窓の外からは住民たちの朝のあいさつが聞こえる。

朝…?

 

わけのわからないことばかり。

まだにやりとほほ笑んでいる来夜に聞かずにはいられなかった。

 

「あの…いったいなんだったんですか?」

 

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一言:オトナの女性には秘密がいっぱい♪

なんか最近1話が短い。